しみ・老人性色素斑・肝斑とは
年齢とともに気になることが増える「しみ」。一言で「しみ」といっても、実はいくつかの種類があり、それぞれ原因や治療法が異なります。特に代表的なのが「老人性色素斑」と「肝斑(かんぱん)」です。見た目が似ていても、原因や適した治療法が異なるため、正確な診断と適切な対処が重要です。ここでは、しみの種類や原因、症状、治療方法についてわかりやすく解説します。
しみの種類
しみにはさまざまな種類がありますが、主に以下の3つがよく見られます。
老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)
一般的に「しみ」と言われて思い浮かべる代表的なものです。紫外線の影響でできるもので、年齢とともに増加するため「加齢によるしみ」とも呼ばれます。
肝斑(かんぱん)
頬骨のあたりに左右対称に現れる、淡い茶色のしみです。30~40代の女性に多く、ホルモンバランスの変化が関係しているといわれています。
炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)
ニキビや虫刺され、かぶれ、ケガなどの炎症のあとにできるしみです。一時的なものが多いですが、時間が経っても残る場合もあります。
原因
しみの原因は一つではなく、種類によって異なります。主な原因を以下にまとめます。
紫外線
すべてのしみの共通する最大の原因が「紫外線」です。紫外線を浴びると、肌を守るためにメラノサイトという細胞がメラニンを生成します。このメラニンが過剰に作られたり、排出されずに肌に残ったりすることでしみになります。
加齢
年齢とともにターンオーバー(肌の生まれ変わり)が遅くなり、メラニンが排出されにくくなるため、しみができやすくなります。特に老人性色素斑は加齢との関連が深いしみです。
ホルモンバランスの乱れ
肝斑の発症には女性ホルモンが関与していると考えられており、妊娠・出産・ピルの使用・更年期など、ホルモンバランスが変化する時期に現れやすくなります。
炎症や摩擦
ニキビやケガなどによる炎症のあとに、メラニンが沈着してしみになることがあります。また、強い洗顔やクレンジングによる摩擦も、しみの原因になることがあります。
症状
それぞれのしみには、見た目や現れ方に特徴があります。
老人性色素斑の症状
- 境界がはっきりとした丸い茶色のしみ
- 主に顔、手の甲、腕など紫外線を受けやすい部分にできる
- 年齢とともに濃くなる傾向がある
- 数mmから1cm以上までさまざまな大きさ
肝斑の症状
- 左右対称に頬骨のあたりに広がる淡い茶色のしみ
- 輪郭がぼんやりしている
- 額や口の周囲に出ることもある
- 日によって濃くなったり薄くなったりすることがある
炎症後色素沈着の症状
- ニキビ、虫刺され、かぶれなどのあとに残る茶色の色素沈着
- 時間とともに徐々に薄くなることもあるが、完全に消えない場合もある
治療方法
しみの種類によって、適切な治療法が異なります。自己判断でのケアは逆効果になることもあるため、皮膚科での診断と治療が推奨されます。
老人性色素斑の治療
レーザー治療
Qスイッチレーザーなどを使って、メラニンをピンポイントで破壊します。
施術後にかさぶたができ、1~2週間で剥がれ落ちます。
美白外用剤(ハイドロキノンなど)
毎日のスキンケアに取り入れることで、色素を薄くする効果が期待できます。
トレチノイン療法
皮膚のターンオーバーを促進し、メラニンの排出を助けます。
ケミカルピーリング
古い角質を除去し、肌の再生を促します。
肝斑の治療
内服薬(トラネキサム酸など)
肝斑に特に効果があるとされる内服薬です。数ヶ月以上の服用が必要です。
外用薬(ハイドロキノンなど)
内服と併用して使うことで、より効果が出やすくなります。
イオン導入やレーザートーニング
肝斑には強いレーザーではなく、低出力のレーザートーニングなどが推奨されます。
炎症を起こさずに、徐々にメラニンを減らしていきます。
※注意:強いレーザー治療は肝斑を悪化させることがあるため、自己判断での施術は避けてください。
炎症後色素沈着の治療
美白剤の外用
ハイドロキノンやビタミンC誘導体などを含む外用剤が使われます。
時間経過と紫外線対策
自然に薄くなるケースも多く、紫外線対策を徹底することで悪化を防げます。
ピーリングやトレチノイン療法
ターンオーバーを促し、色素沈着を早く排出するために使われます。
しみ治療において大切なこと
しみの治療を成功させるには、正確な診断と継続的なケアが不可欠です。また、どの種類のしみに対しても、紫外線対策は基本中の基本です。日焼け止めを毎日使用し、日傘や帽子などで物理的に紫外線を防ぐことが大切です。
また、生活習慣の見直しやスキンケアの工夫も、美しい肌を保つために重要です。特に肝斑はストレスやホルモンバランスとも関連しているため、生活全体を整えることも治療の一環になります。
しみ・老人性色素斑・肝斑でお悩みの方は当院まで
しみと一口に言っても、「老人性色素斑」「肝斑」「炎症後色素沈着」などさまざまな種類があり、それぞれ原因や治療方法が異なります。間違った自己ケアや不適切な治療は、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。
気になるしみがある方は、まずは皮膚科を受診し、正確な診断を受けましょう。早期の対応と適切な治療、そして日常的な紫外線対策が、美しい肌への第一歩となります。