かぶれ・手荒れとは
かぶれ・手荒れとは
「かぶれ」や「手荒れ」は、日常的によく見られる皮膚トラブルの一つです。どちらも皮膚に炎症が起きることで、赤み、かゆみ、乾燥、ひび割れなどの症状を引き起こします。特に手は、外気や水、化学物質などに直接さらされる機会が多いため、肌トラブルを起こしやすい部位の一つです。
かぶれは「接触皮膚炎」とも呼ばれ、特定の物質が肌に触れることでアレルギー反応や刺激が起き、炎症につながります。一方、手荒れは、頻繁な手洗いや乾燥など、物理的・環境的な要因によって皮膚のバリア機能が低下し、肌がダメージを受けた状態を指します。
この2つは重なる部分も多く、原因や症状、治療法も似ています。適切なスキンケアや治療によって、症状の悪化を防ぎ、快適な肌を保つことができます。
かぶれ・手荒れの原因
かぶれや手荒れの原因は一つではなく、複数の要因が重なって起こることが多いです。以下に主な原因を紹介します。
1. 外部からの刺激やアレルゲン
洗剤・石けん・消毒剤
洗浄力の強い成分は、皮膚のうるおいを保つ成分まで洗い流してしまい、バリア機能が低下します。特にアルコール消毒の頻度が多い現代では、手荒れの相談が増えています。
金属・ゴム・香料
アクセサリーや時計、ゴム手袋、化粧品に含まれる成分などがアレルゲンとなり、かぶれを引き起こすことがあります。
植物や動物との接触
観葉植物や草花、ペットの毛、虫なども、かぶれの原因になることがあります。
2. 環境的な要因
空気の乾燥
冬場の乾燥した空気や、エアコンの風などは、皮膚の水分を奪い、ひび割れやかゆみの原因になります。
水仕事や頻繁な手洗い
長時間の水仕事や石けんの多用は、皮膚の保護膜を壊し、手荒れを悪化させます。
3. 内的要因
アトピー体質や乾燥肌
もともと皮膚が弱い方やアレルギー体質の方は、刺激に対して過敏に反応しやすい傾向があります。
ストレスや疲労
自律神経の乱れやホルモンバランスの変化が、皮膚のバリア機能の低下につながることがあります。
かぶれ・手荒れの症状
かぶれや手荒れの症状は、原因や重症度によって異なりますが、共通して以下のような症状が見られます。
軽度の症状
- 手の甲や指先の乾燥
- 皮膚がカサカサ・ザラザラする
- かゆみがある
中等度の症状
- 赤みが強くなる
- ヒリヒリ・ピリピリとした刺激感
- 小さな水ぶくれや亀裂ができる
- 指の関節周りが切れて痛む
重度の症状
- 皮膚がただれてジュクジュクする
- 炎症が広がって日常生活に支障が出る
- 二次感染(とびひなど)を起こすこともある
慢性的な手荒れでは、皮膚が厚くゴワゴワしたり、色素沈着が起きることもあります。早期の対処が悪化防止の鍵となります。
かぶれ・手荒れの治療方法
症状の程度や原因に応じて、適切な治療を行うことが重要です。
1. 外用薬による治療
ステロイド外用薬
炎症が強い場合には、ステロイドの塗り薬が使用されます。かゆみや赤みを抑える効果があり、短期間で症状を改善します。
保湿剤(ヘパリン類似物質、ワセリンなど)
皮膚のバリア機能を補い、再発予防にもつながります。症状が軽くなった後も継続的に使用することが推奨されます。
抗生物質の外用薬
細菌感染を伴っている場合は、抗生物質入りの軟膏を併用することがあります。
2. 内服薬による治療
かゆみが強い場合やアレルギー反応が関与している場合には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服が行われます。
3. パッチテスト(原因検索)
原因が特定できない場合や、アレルギーが疑われる場合には、パッチテストでアレルゲンを調べることもあります。
4. 日常生活でのスキンケア
- 水や洗剤に触れるときは手袋を使用する(内側は綿、外側はゴムの二重がおすすめ)
- 手洗い後はこまめに保湿
- 就寝前に保湿クリームを厚めに塗り、綿手袋で保護すると効果的
かぶれ・手荒れは内臓と関係があるのか?
「手荒れは内臓の不調のサインでは?」という声を耳にすることがあります。確かに一部の慢性疾患や肝機能の異常、ホルモンバランスの乱れが皮膚に現れることはありますが、かぶれや手荒れの多くは外的刺激やバリア機能の低下によるものです。
ただし、以下のようなケースでは内臓との関連が疑われることもあります。
- 肝臓や腎臓の機能異常により皮膚がかゆくなる
- 甲状腺ホルモンの乱れによる乾燥やむくみ
- 糖尿病による皮膚の感染リスク増加
このような背景疾患が疑われる場合には、血液検査や内科的な検査が必要になります。しかし、ほとんどのかぶれ・手荒れは内臓由来ではなく、皮膚そのもののケアで十分改善可能です。
手荒れかぶれでお困りの方は当院までご相談ください
かぶれや手荒れは、日常生活に密接に関係した皮膚トラブルであり、多くの方が経験する身近な症状です。症状が軽いうちに適切な対処を行うことで、悪化を防ぎ、快適な肌を保つことができます。
「たかが手荒れ」と思わず、赤みやかゆみ、ひび割れなど気になる症状がある場合は、早めに医師へ相談することをおすすめします。当院では、症状の程度や生活背景を丁寧にうかがい、個々に合った治療とスキンケア指導を行っています。お気軽にご相談ください。