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過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは過敏性腸症候群は、腸に炎症や潰瘍などの異常が見られないにもかかわらず、腹痛、下痢、便秘、腹部の不快感などの症状が慢性的に続く病気です。排便によって一時的に症状が軽くなるものの、再び同様の症状が現れ、生活の質(QOL)に大きく影響を及ぼします。日本では約10~20%の人がこの病気に苦しんでいるとされています。
過敏性腸症候群は、症状の種類に応じて、大きく以下の4タイプに分けられます。

4つの種類

下痢型

急激な腹痛とともに水のような便が排出されます。場合によっては10回以上もトイレに行くことがあります。急な腹痛・下痢に強い不安を覚え、仕事や学業、あるいは外出そのものに支障が出る場合があります。

便秘型

週3回以下に排便の回数が減少するなど、慢性的な便秘に見舞われます。排便時には腹痛があり、強く息まなければ便が出ず、ようやく出たとしてもコロコロとした硬い便が出て、残便感が残るのが特徴です。

混合型

下痢と便秘が交互に繰り返されるタイプです。大腸がんの場合にも、同じような症状が見られることがありますので、注意が必要です。

分類不能型(ガス型)

おならが多い「ガス型」など、分類できないタイプもあります。おならの回数が増えたり、常にお腹が張っている感じがする、においが強くなった場合には、過敏性腸症候群などの病気を疑い、早めに受診することが大切です。

ストレスの可能性あり!?過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の原因は、まだ明確には解明されていませんが、主に自律神経の乱れや消化管の運動異常、知覚過敏、そしてストレスが関係していると考えられています。特にストレスによる不安状態が自律神経に影響を与え、腸の動きが活発になりすぎて下痢になったり、逆に止まって便秘になったりすることがあります。また、内臓知覚過敏や食物アレルギー、微細な腸管炎症といった他の要因も指摘されています。

過敏性腸症候群の
症状チェック

過敏性腸症候群の症状チェック
  • 長期間(数週間)腹部の不快感や腹痛がある
  • コロコロしているなど便の形が悪い時期が続いている
  • 排便によって症状が治まることが多い
  • 排便しても残便感がある
  • ガスが溜まっている感じが続く
  • 緊張する場面、大切な場面でお腹の調子が悪くなる
  • 排便の回数が不規則にな
  • 便に血が混ざる
  • 体重が減少してきた
  • 夜中におなかが痛くなり目が覚める

など

これらの症状がある方は、過敏性腸症候群が疑われますが、最後の3つの症状もある方は、より重篤な病気の可能性がありますので、当院にご相談ください。

過敏性腸症候群の検査

過敏性腸症候群の診断は、問診と各種検査を通じて他の疾患を排除しながら行われます。症状についての詳細な問診の後、血液検査や腹部X線、大腸カメラ検査などを行い、大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病などの疾患や内分泌異常がないことを確認します。最終的に、6ヶ月以上の症状持続や排便による症状改善などの条件を満たす場合に過敏性腸症候群と診断されます。

なお当院では、消化器・内視鏡専門医である院長が大腸カメラ検査を行います。必要に応じて鎮静剤を使用し、ウトウトと半分眠ったような状態で検査を終えることができます。下剤については、ご自宅で飲んでいただいても結構ですし、当院までの道中が心配という方には、来院後に飲んでいただくこともできます。

大腸カメラについて
詳しくはこちら

過敏性腸症候群の治し方

過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、完治は難しく、症状を予防し軽減することが重要です。治療には生活や食事の指導、薬物療法、心身医学的治療があり、これらを症状や状態に合わせて組み合わせることで改善を目指します。

薬物療法

薬物療法下痢型、便秘型、混合型、分類不能型に分類し、さらに便の形でも分類し、腹痛などの症状を考慮し、内服薬を決定します。
精神的ストレスが原因であると考えられる場合には、抗不安薬、抗うつ薬の投与や、心身医学的治療が効果的に作用することもあります。

生活習慣指導

まずは、自律神経のバランスを整えるため、規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけてください。職場・家庭・学校などでの時間がストレスとなっている場合には、その対処法(ストレスとの付き合い方)についてもアドバイスをいたします。

 

過敏性腸症候群になったときにおすすめの食べ物

過敏性腸症候群の症状軽減には、適切な食習慣が重要です。

食物繊維を多く含む食材

食物繊維を多く含む食材過敏性腸症候群には、食物繊維を多く含む食材がおすすめです。こんにゃく、ごぼう、キノコ類、納豆、海藻類、バナナなどを適度に食べるようにしましょう。

低FODMAP食

過敏性腸症候群の方は、発酵性のオリゴ糖、ポリオール、単糖類、二糖類が豊富に含まれる「高FODMAP食」を控えることで、症状が改善するという報告が欧米でされています。自分に合った「低FODMAP食」を見つけることで、症状改善や予防に役立つこともあります。

主な低FODMAP食

  • 米、玄米、ビーフン、フォー、十割蕎麦
  • 卵、牛肉、鶏肉、豚肉、魚
  • トマト、ほうれん草、大根、カボチャ、人参、ジャガイモなどの野菜
  • 木綿豆腐
  • バナナ
  • メープルシロップ、バター、マーガリン
  • 緑茶、紅茶

など

食事のポイント

適切な食習慣を身につけることで、過敏性腸症候群の症状を軽減することが可能です。
特に以下のポイントに気をつけましょう。

  • 規則正しい時間に3食を摂る
  • 食べ過ぎない(腹八分目)
  • 早食いをしない
  • 十分に水分を摂る
  • 冷たいものを摂りすぎない(夏場は特に気をつけてください)
  • 香辛料、カフェインを摂りすぎない
  • お酒はほどほどに
  • 不溶性食物繊維(ごぼう・切り干し大根・ブロッコリー・ナッツなど)を摂りすぎない

など