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蕁麻疹(じんましん)

蕁麻疹(じんましん)とは

蕁麻疹(じんましん)とは蕁麻疹は、突然皮膚に赤みやふくらみ(膨疹)が現れ、強いかゆみを伴う皮膚疾患です。発疹は地図のように広がったり、数時間以内に消えたりするのが特徴で、数分〜数時間で自然に引いてしまうこともありますが、再び別の場所に現れることもあります。
一時的な「急性蕁麻疹」のほか、1ヶ月以上繰り返す「慢性蕁麻疹」もあり、発症の頻度や期間には個人差があります。
見た目には湿疹と似ている部分もありますが、蕁麻疹はその特有の消えたり現れたりする性質から、他の皮膚病と区別されます。

蕁麻疹の原因

蕁麻疹の原因はさまざまで、一つに特定できないことも多くあります。以下のように分類されます。

1. アレルギー性の蕁麻疹

食べ物、薬剤、植物、虫刺されなどに対するアレルギー反応によって起こるタイプです。摂取後数分〜1時間以内に症状が出ることが多く、原因が明確なこともあります。

【よくあるアレルゲン】

  • 卵、乳製品、小麦、エビ・カニ、そば、ナッツ類
  • 解熱鎮痛薬、抗生物質
  • ハウスダストや花粉

2. 非アレルギー性の蕁麻疹(刺激によるもの)

アレルギーとは関係なく、外部刺激や内的要因で皮膚が反応して蕁麻疹が起きるケースです。

【主な原因】

  • 温度変化(寒冷蕁麻疹、温熱蕁麻疹)
  • 圧迫や摩擦(機械性蕁麻疹)
  • ストレスや疲労
  • 発汗(コリン性蕁麻疹)

3. 特発性蕁麻疹

はっきりとした原因が特定できないタイプで、多くの慢性蕁麻疹がこれに該当します。体質的な要因や免疫反応の異常が関係していると考えられています。

蕁麻疹の症状

蕁麻疹の症状は、突然現れる「かゆみ」と「赤いふくらみ」が特徴です。

主な症状

主な症状
  • 皮膚にミミズ腫れのような盛り上がった発疹(膨疹)
  • 赤みが広がる
  • 強いかゆみを伴う
  • 数時間以内に跡形もなく消えることが多い
  • 身体のどこにでも出現する(顔・手足・体幹など)

また、発疹はひとつひとつが小さくても、複数がつながって地図のように広がる場合もあります。症状が強い場合は、喉の粘膜に腫れが起き、呼吸困難を引き起こす「アナフィラキシー」に進展する可能性もあるため、注意が必要です。

蕁麻疹と湿疹の違い

蕁麻疹と湿疹は、どちらも皮膚に赤みやかゆみが出るため、見た目だけでは区別が難しいことがありますが、それぞれ異なる特徴を持っています。

比較項目 蕁麻疹 湿疹
発症のスピード 急に現れ、数時間で消える 徐々に現れ、長く続く
持続時間 数分〜数時間 数日〜数週間
かゆみ 強く、突然起こる やや持続的
原因 アレルギー、刺激、特発性 乾燥、刺激、体質など
発疹の形 盛り上がった膨疹 赤み、かさぶた、湿り気を伴う

蕁麻疹は「短期間に変化すること」が最大の特徴です。時間の経過とともに消えるかどうかが、湿疹との大きな違いになります。

蕁麻疹の治療方法

蕁麻疹の治療は、「症状を抑えること」と「再発を防ぐこと」の両方を目的に行います。

1. 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服

かゆみや膨疹を引き起こすヒスタミンという物質の働きを抑える薬が主に使用されます。毎日内服することで症状の出現を防ぎ、生活の質(QOL)を保つことができます。

2. 外用薬(かゆみ止め)

症状が強い部位には、抗ヒスタミン外用薬やステロイド軟膏を一時的に使用することがあります。ただし蕁麻疹は皮膚の深い部分の反応であるため、外用薬の効果は限定的です。

3. 原因の除去

明確な原因が特定できている場合は、該当する食物や薬剤、刺激物の摂取・接触を避けることが重要です。

4. 生活習慣の見直し

慢性的な蕁麻疹では、疲労やストレス、睡眠不足などが悪化因子になることがあります。規則正しい生活を心がけ、皮膚への刺激を避けることで症状が安定する場合もあります。

5. 難治性の場合の治療

通常の治療で効果が不十分な場合には、免疫を調整する新しい治療薬(抗IgE抗体など)や、専門的な検査による原因検索が必要となる場合もあります。

蕁麻疹の際に控えたい食べ物

すべての人に当てはまるわけではありませんが、蕁麻疹の症状が出ているとき、もしくは繰り返しやすい体質の方は、以下の食品を控えると悪化を防げることがあります。

1. ヒスタミンを多く含む食品

ヒスタミンを多く含む食品
  • 魚の干物や加工品(サバ、マグロ、イワシなど)
  • チーズ、発酵食品
  • アルコール類(特に赤ワイン、ビール)

これらの食品は、体内のヒスタミン量を増やす可能性があり、かゆみを強く感じることがあります。

2. 食品添加物が多い加工食品

食品添加物が多い加工食品
  • インスタント食品、スナック菓子
  • 着色料・保存料を多く含む食品

一部の添加物が、体にとって刺激となることがあり、体質によって蕁麻疹を引き起こす原因になることがあります。

3. アレルゲンになりやすい食材(体質による)

アレルゲンになりやすい食材(体質による)
  • 卵、乳製品、小麦
  • 甲殻類(エビ・カニ)
  • ピーナッツ、そば など

過去に食物アレルギーを起こしたことがある方や、体調不良時には注意が必要です。

蕁麻疹でお悩みの方は当院までご相談ください

蕁麻疹は、見た目の症状が突然現れたり消えたりするため、驚いたり不安になったりする方も多い皮膚疾患です。原因が特定できる場合もありますが、わからないことも珍しくなく、「どう対応したらいいかわからない」と感じる方も少なくありません。
当院では、蕁麻疹の原因やライフスタイルを丁寧にお伺いし、それぞれの患者様に合った治療方針をご提案いたします。「よくある皮膚トラブル」と放置せず、かゆみや皮膚の異常に気づいたら、どうぞお気軽にご相談ください。