胃潰瘍とは
胃潰瘍とは、胃の粘膜が損傷して深くえぐれ、潰瘍になった状態のことです。胃液は強い酸性で、食べ物を消化したり殺菌作用を発揮したりといった役割を持っています。健康な胃は、胃酸から胃粘膜を守る機能が働いています。
しかし、胃酸が過剰に分泌されたり胃粘膜の防御機能が低下したりすると、胃液が胃の粘膜を侵食し、炎症やびらんができることがあります。この状態が進行すると、粘膜のさらに深く、2~3mm程度まで傷つくことがあります。これがいわゆる「胃潰瘍」で、悪化すると胃に穴が開き、腹膜炎を起こす危険もあります。また、良性と悪性があるため検査で鑑別が必要です。
以前は50代の男性に多いと言われていましたが、最近では性別に関わらず発症することが多いです。
胃潰瘍の原因はピロリ菌?
ストレスの可能性も?
胃潰瘍の原因は様々です。最近はピロリ菌感染や薬剤の使用が原因として注目されていますが、ストレスでも発症する可能性があります。
ピロリ菌感染は、胃潰瘍の原因の約7割以上とされ、最大の要因と考えられています。ピロリ菌に感染すると胃の粘膜に継続して炎症が起こっている状態となり、炎症が進行すると胃潰瘍となります。ピロリ菌感染は胃がんのリスクも高くなるため、感染していると分かったら早めに除菌して治療するのが大切です。大阪消化器内科・内視鏡クリニック 難波院でもピロリ菌感染の検査と除菌治療を行っております。
また、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)やアスピリンなどの薬を服用していると、胃粘膜の防御機能を弱めて潰瘍を発症する可能性があります。これらの種類の薬を長期間服用していて胃の痛みを感じる場合、一度医療機関へ相談しましょう。
このほか、心身のストレスによる胃酸の過剰分泌に加え、刺激の強い食べ物、喫煙、食生活の乱れといった生活習慣も胃潰瘍の原因となる可能性があります。
胃潰瘍の症状チェック
- みぞおちの痛み(特に空腹時)
- 酸っぱいげっぷ
- 吐き気、嘔吐
- 胸焼け、胃もたれ
- 口臭
- 食欲不振
- 体重減少
- 背中の痛み
- 血便、吐血
など
胃の症状は、他の病気でも同じことが起こることが多く、症状だけでは鑑別が難しいと言われています。
胃潰瘍を放置すると…
胃潰瘍を放置して症状が進行すると、潰瘍から出血が起こって時に大量出血を起こし、貧血の原因となります。潰瘍が血管を破ってしまうのが原因です。また、胃の壁に穴が開いて、消化液や消化物が外に漏れだすと急性腹膜炎が起こる可能性があります。腹痛に加えて発熱、嘔吐、腹部膨満感、頻脈などの症状が発生し、すぐに処置が必要です。重篤な症状になる前に、早めに検査を受けて早期発見・早期治療に繋げましょう。
胃潰瘍の検査
胃潰瘍を確定診断するためには、症状や生活習慣などの問診の後、胃カメラ検査が必要です。
潰瘍と思われる病変が見つかったら、検査中に組織を採取して病理検査で細胞を調べて診断します。胃潰瘍だけでなく、ポリープや胃がんの有無も調べられる検査です。
大阪消化器内科・内視鏡クリニック 難波院では、消化器内視鏡専門医が診察から検査、診断、その後の治療まで一貫して行っております。鼻からカメラを通す経鼻内視鏡と鎮静剤を用いて、身体の負担を少なく胃カメラ検査をお受けいただけます。
「初めて検査を受ける」という方もご安心ください。
胃潰瘍の治し方
~何日で治る?~
胃潰瘍はどのように治療するのか、具体的な方法や流れをご紹介します。
食事療法
症状が強い場合は食事制限、胃を刺激しないように柔らかく消化の良いものを何回かに分けて食べるようにします。カフェインや飲酒など、胃に刺激を与えるものは控えてください。喫煙も中止しましょう。
症状が回復してきたら、徐々に普通の食事に戻していきます。
薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬、胃の粘膜を修復する薬を中心に、消炎鎮痛剤などを組み合わせて経過観察します。ピロリ菌がいる場合は除去するために服薬します。
合併症がなく、胃潰瘍のみであれば治療にかかる期間は2ヶ月程度です。
内視鏡的治療
出血や穿孔がある場合、内視鏡で止血します。止血剤を使う、出血している血管をクリップで挟んで止める、凝固・焼灼を行って止血する、といった方法があります。
ピロリ菌に感染している
場合は除菌治療を
胃潰瘍の原因のうち、70%以上がピロリ菌感染による発症です。ピロリ菌の検査が陽性だった場合は除菌治療によって発症や予防を行いましょう。胃潰瘍だけでなく、胃がんの発生予防にも繋がります。
1週間程度の内服で、約90%の方が除菌可能です。除菌を行った後に再感染する可能性はほぼないと言われています。