自覚症状が出たときには
手遅れ!?胃がんの
症状チェック
胃がんは、初期症状がほとんど現れない疾患です。お腹の痛みなどで医療機関を受診した時点で、すでに胃がんがかなり進行しているケースがあります。
また、胃がんの代表的な症状は、食べ過ぎや刺激物の摂り過ぎなどが原因となる一時的な急性胃炎でも同様に見られます。これが、症状に気づきながら受診を後回しにしてしまう原因にもなっています。軽い症状であっても、急性胃炎かも…と自己判断せずに胃カメラ検査を受けるようにしましょう。
上腹部痛
食べ物は食道を通過して、胃へ送り込まれます。
胃はお腹の上の方に位置しており、異変が生じるとお腹の上の方が痛む「上腹部痛」や、みぞおち付近の痛みが現れるようになります。
食欲不振・吐き気・体重減少
胃に異変が生じると、食欲不振や吐き気といった症状が起こりやすくなります。そうすると十分な食事ができなくなるため、体重減少にも繋がります。
食べ物の飲み込みづらさ
胃の入口から上部にがん腫瘍ができると、食べ物が飲み込みにくくなります。
また、がんの範囲が広がると胃の収縮運動が難しくなり、消化もできなくなります。そうすると、すぐにお腹いっぱいになるといった腹部膨満感を覚える方もいます。
黒色便
がんは範囲を広げるために、新生血管と呼ばれる新しい血管を作って身体の栄養を吸い取ります。新生血管は、通常の血管よりも破れやすく脆く、血液が便へ出てくることがあります。
胃から長時間かけて腸を通過するため、色が黒いところが特徴です。
胃がんの原因・リスク因子
胃がんの原因は、現時点ではっきりと解明されていません。
ですが、胃がんの発症リスクを上昇させる要因は分かっています。
胃がんリスクを高める原因の代表例には、ピロリ菌感染が挙げられます。ピロリ菌に感染すると、慢性的に胃粘膜の炎症が引き起こされるため、胃がんにかかりやすくなるのです。
肥満
肥満は、胃がんのみならず、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高めます。
なお、肥満の定義は、BMIが25以上であることと定められています。BMIが25以上ある方は、適正体重を維持するように心がけましょう。
家族歴
家族や親戚といった血縁者の中に胃がんを発症した方がいる際には、胃がんを発症する可能性が高くなるとされています。
塩分過剰摂取
塩分量の多い食事は、胃がんのリスクを高めるとされています。
また、減塩を心がけた食事は、高血圧のリスクを軽減することにも効果的です。
タバコ
胃がんを発症するリスクの18%は、タバコによるものだというデータがあります。
喫煙者は非喫煙者と比べて1.53倍もがんのリスクが高く、特に男性は発症傾向が強いと指摘されています。
胃がんの検査
胃がんは、X線検査(バリウム検査)や胃カメラ検査で調べます。
特に胃カメラ検査は、精度が向上しているため、早期のがんまで発見することが可能です。
大阪消化器内科・内視鏡クリニック 難波院では、鼻から内視鏡を挿入する経鼻内視鏡や、ウトウトとした眠気を感じながら受けられる鎮静剤をご用意しております。
胃がんの治療
早期胃がんであれば、胃カメラを使用して切除することが可能です。
必要に応じて、提携する病院へと速やかに紹介できる体制を整えております。
内視鏡的治療
内視鏡的粘膜切除術(EMR)という術式では、スネア(輪っかのような器具)を内視鏡の先端から出して切除します。
また、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)では、内視鏡の先からメスを出し、切り離すように切除します。そのため、より広範囲のがんに適応します。
外科手術
がんの進行が認められる場合には、外科手術が必要になります。
胃を部分的に、もしくは全摘出を行います。なお、腹腔鏡による手術と、開腹による手術があります。
化学療法
内服や点滴による抗がん剤治療です。
外科手術と組み合わせて採用することがほとんどで、手術の前後に行います。
また、転移があり手術ができない場合や手術後に再発した際には、化学療法を中心とした治療が必要になります。
胃がんの生存率
胃がんのステージI は、IA期とIB期に分類されます。IA期は粘膜浸潤とリンパ節転移が軽度な段階、IB期はどちらかがより進行した状態を指します。ステージI全体の5年生存率は約95%と高い数値を示しています。
ステージII では、内視鏡的切除や開腹手術が主な治療方法となりますが、再発のリスクは残ります。この段階での5年生存率はおよそ80%程度です。
IIIC期になると、がんの完全切除が困難なケースが多くなり、5年生存率は54%前後まで低下します。
最も進行したステージIV の胃がんでは、抗がん剤治療によるがんの縮小を主な目標とします。場合によってはステージIII期以下に改善し、手術可能と判断されることもあります。しかし、多くの場合、ステージIV の5年生存率は10%を下回ります。