胆嚢ポリープとは
胆嚢ポリープとは、胆嚢の内側にできた盛り上がり(隆起性病変)です。種類によって、キノコのような細い茎を持つものや、平べったくなだらかなものなど様々です。ほとんどは良性で治療の必要はありませんが、まれに悪性の可能性もあります。成人の約5%に観察され、診断される人は比較的多いと言えます。
また、すべてではありませんが、ポリープの種類によっては自然に消えたり、食生活の改善で大きさが小さくなったり可能性もあります。
胆嚢ポリープはどのように発生するかによって以下の種類に分けられます。
胆嚢ポリープの種類
コレステロールポリープ
胆汁に含まれるコレステロールが結晶化し、胆嚢の粘膜に付着したものと言われています。良性で、大きさは10mm以下であることがほとんどです。ポリープの中でも最も多く、全体の約70%を占めます。
過形成ポリープ
胆嚢内部の粘膜が過剰に増殖(過形成)してできたものです。良性で、ほとんどは5㎜以下と言われています。
炎症性ポリープ
慢性胆嚢炎などで炎症が起きると、胆嚢内部の粘膜が刺激されてできると言われています。良性がほとんどですが、悪性化するリスクもあります。
腺腫性ポリープ
基本的には良性ですが、10mm以上に大きくなるものはがん化するとの報告があります。ポリープ全体の1%程度を占めており、単発に発生し、10mmタイの大きさのものが多いとされています。
胆嚢がん
悪性の胆嚢ポリープ=胆嚢がんです。検査で正しく見分けるのは難しいことが多いですが、特徴としてなだらかに盛り上がる、無茎性で10mm以上、だんだん大きくなるといったことが挙げられます。胆嚢がんであれば手術が必要です。
胆嚢ポリープの原因
胆嚢ポリープができる原因ははっきりしていませんが、色々な要因が関わっていると考えられています。
遺伝的要因、コレステロールの蓄積、慢性胆嚢炎、生活習慣、高脂肪食、肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病などが原因に関わる要素として考えられています。
このような原因を考えると、胆嚢ポリープの多くを占めるコレステロールポリープの発生予防には脂質の多い食品を避け、適度な運動やバランスの良い食生活を心がけましょう。
胆嚢ポリープの症状チェック
- 黄疸
- 倦怠感
- 発熱
など
大半の胆嚢ポリープは無症状です。もしポリープが悪性で病気が進行した場合、以上のような症状が起こる場合があります。
胆嚢ポリープを切除したら
癌だったということも…
胆嚢ポリープとは、あくまでも病変の形を指す言葉です。良性と悪性どちらの可能性があります。「切除してみたらがんだった」というケースも否定できません。ポリープの形状などから判断し、がんを疑って切除する可能性があります。
大きさ10mm以上、茎の部分が広い広基性のポリープは、悪性を否定できないため胆嚢を切除する可能性があり胆嚢がんは悪性度が高く予後が悪いため、万一悪性だった場合を考えてなるべく早期に治療が必要です。
胆嚢ポリープの検査
基本的には腹部超音波検査で発見されることが多く、健康診断や人間ドックで偶然見つかる方は珍しくありません。どのようにポリープが存在しているか、形状や数、大きさをリアルタイムで調べられる検査です。
精密検査が必要と判断された場合、造影CT、MRI、超音波内視鏡検査が行われることがあります。超音波内視鏡では、十二指腸から胆嚢を観察するため詳しい検査ができます。また、造影CTはポリープの血流評価に有用です。
胆嚢ポリープの治療
経過観察
良性のポリープは、半年から1年に1回の経過観察で対応します。腹部超音波検査で大きさや形に変化がないか確認し、悪性が疑われるものは手術で胆嚢切除を検討します。基本的に5mm以下は1年、5mmより大きいものは半年ごとの検査が推奨されています。
手術
悪性が疑われるポリープは、胆嚢ごと切除します。胆嚢を切除しても、胆管が胆汁を溜める働きをするため消化に影響はないとされています。摘出の際は、開腹手術と腹腔鏡下内視鏡手術を行います。