機能性ディスペプシアとは
特に胃に異常がないのに、胃痛や胃もたれ、膨満感などの症状が続く状態を「機能性ディスペプシア」と呼びます。機能性ディスペプシアでは、内視鏡などで検査をしても異常を認めません。健康診断受診者の1~2割、胃の症状で受診した人のうちの半数程度が診断されると言われています。
診断基準としては、
- 心窩部痛、心窩部灼熱感、食後のもたれ感、早期飽満感のうち1つ以上がある
- 上記のいずれかの症状が診断の6ヶ月前から起こり、かつ直近3ヶ月でも続いている
とされています。
以前はストレスに起因する胃炎などと診断されていましたが、最近になって新しくできた病気の概念です。生活の質の低下に関わるため、早めの治療が望ましいです。
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアの原因として、様々なことが考えられています。
- 胃や十二指腸の運動機能の低下、運動障害
- 胃や十二指腸の胃酸や脂肪に対する知覚過敏
- 精神的な不安、ストレス、抑うつ状態などの影響による変化
- 胃酸の過剰分泌、生活習慣の乱れ
- ピロリ菌の感染
など
といったことが考えられています。
胃が食べ物を溜めて十二指腸に送る運動(適応性弛緩と胃排出能)という機能の異常や、胃が炎症を起こして知覚過敏や運動機能の障害の悪化に繋がります。
機能性ディスペプシアの
症状チェック
- 胃もたれ、胸焼けがする
- 胃やみぞおちが痛む
- げっぷが出やすい
- すぐにお腹がいっぱいになる
- 吐き気がする
- 胃が焼けるような感じがする
- 医療機関で検査をしても胃や十二指腸に異常がない
など
胃の症状以外にも、倦怠感や肩こり、背中の痛み、不安、焦燥感などの症状が現れることがあります。
機能性ディスペプシアの検査
機能性ディスペプシアを診断するためには、ほかの疾患を除外しなければいけません。
問診で症状の経過や現われ方、食事内容などを確認し、胃カメラや超音波検査で異常がないことを確認します。
大阪消化器内科・内視鏡クリニック 難波院で実施する胃カメラは、鼻からカメラを入れる経鼻内視鏡検査です。鎮静剤を使用して痛みを感じずに検査を受けていただけます。診察での問診から検査、診断まで消化器内視鏡専門医が一貫して担当いたします。継続して続く胃の不快感にお悩みの方は、安心してご相談ください。
機能性ディスペプシアの
治し方
~おすすめの食べ物は?~
機能性ディスペプシアの方は、胃に負担をかけないことが大切です。薬物療法も行えますが、まず食習慣や生活習慣の改善から始めます。検査で異常がないことが分かると、安心して症状が軽減されるケースもあるようです。
食事療法・生活習慣の改善
脂質や食物繊維が少なめの、胃に負担がない食事を心がけましょう。調理方法も、煮る・蒸す・スープにする、といった胃に優しい方法にします。また、意識して良く噛んで食べ、消化が良くなるように心がけましょう。
アルコールやカフェイン、香辛料は刺激物ですので摂り過ぎは避けるようにしてください。また、胃酸の分泌を促進する塩辛いもの、甘みが強いものも控えます。
栄養バランスよく1日3食の規則正しい食習慣を心がけましょう。お腹の空き過ぎは胃酸分泌過多に繋がります。
生活習慣では、十分な睡眠と適度な運動、禁煙、さらに疲れやストレスをためないようにできると理想的です。自律神経を整えるような生活を目指しましょう。
おすすめの食べ物
- 主食:おかゆ、うどん、柔らかめのご飯、パンなど
- おかず:豆腐、卵、白身魚、ささみなど
- 野菜:じゃがいも、カボチャなど食物繊維が少ないもの
- その他:ヨーグルト、バナナ、リンゴなど
など
消化が良いものをゆっくり噛んで食べましょう。水分をしっかり摂るようにしてください。
薬物療法
薬を服用する場合、胃酸の分泌抑制効果がある薬を中心に、消化管運動機能改善薬や漢方などが処方されることがあります。ピロリ菌がいると検査で判明した場合は除菌薬を使用し、抗うつ薬や抗不安薬が効果を発揮することもあります。
原因が様々なように、症状に合わせて様々な薬が使われます。