バレット食道とは
バレット食道とは、慢性的な胃食道逆流により食道下部の粘膜が胃の粘膜に置き換わった状態を指します。生命に直接関わる疾患ではありませんが、バレット食道になると食道がんを発症するリスクが健常者の30~60倍高いと報告されています。バレット食道に発生する「食道腺がん」(バレット食道がん)は、日本で一般的な食道扁平上皮がんとは異なるタイプのがんです。胃食道逆流が逆流性食道炎を引き起こし、バレット食道、異形成を経て食道腺がんに進行することがあります。
欧米では逆流性食道炎の増加と共にバレット食道やバレット食道がんの発生も増え、日本でも同様の傾向が懸念されています。
バレット食道の原因
バレット食道の原因は、胃酸が逆流し、食道粘膜で炎症を起こす「逆流性食道炎」です。
胃酸が食道に逆流すると逆流性食道炎を引き起こし、粘膜に「びらん」や「潰瘍」といった病変が現れます。この治癒過程で食道の粘膜が扁平上皮から円柱上皮に置き換わった状態を「バレット食道」と言います。
バレット食道の範囲が広いほど、バレット食道がんのリスクが高まり、広範囲のバレット食道をLSBE、狭い範囲をSSBEと分類します。LSBEは年率0.33-0.56%、SSBEは0.19%のがん発生率で、LSBEの方がリスクが高いとされています。日本ではSSBEが多くリスクは低いものの、逆流性食道炎の増加に伴い、将来的にバレット食道がんの発生が増えると予測されています。
バレット食道は胸の痛みが
ある!?症状チェック
- 胸焼けがする
- 呑酸(酸っぱいもの)が上がってくる
- げっぷが頻繁に出る
- みぞおち周辺に痛みや違和感がある
- 胸周辺に違和感がある
- 口内や喉に違和感がある
- 飲み込みにくいことがある
など
バレット食道は逆流性食道炎に類似する症状が見られることがありますが、無症状の方も少なくありません。
バレット食道の検査
バレット食道の確認には胃カメラ検査が必要で、逆流性食道炎のような症状がある場合は早期発見を目指して検査を受けることが推奨されます。診断後は治療と共に、定期的な検査で経過を見守ることが重要です。
バレット食道がんが発見された場合、治療は食道がんや胃がんの基準に基づき行われますが、早期発見であれば内視鏡治療が可能です。
大阪消化器内科・内視鏡クリニック 難波院では、経験豊富な院長が経鼻内視鏡を使い、鎮静剤を用いてリラックスした状態で検査を行いますので、初めての方も安心して検査を受けていただけます。
バレット食道の治療
治療の対象は、バレット食道と診断された中でも、食道粘膜の離脱範囲が広いLSBEに該当する場合になります。
薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬を使用することで、バレット食道の拡大を阻止し、範囲の縮小やがん化の抑制も期待できます。
バレット食道になったときの食事・飲み物(コーヒー)
バレット食道では、脂肪分やタンパク質、甘いものや香辛料、酸味の強い果物などが胸焼けを悪化させる可能性があるため、これらの食品は控えめに摂ることが大切です。食事はゆっくりと、腹八分目を心がけましょう。
コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインは胃酸分泌を促し、アルコールは胃酸を増やすだけでなく、噴門部の筋肉を緩めるため、摂りすぎは症状の悪化に繋がりやすいと言われています。
また、食後すぐに横になると逆流が起こりやすいので、食事後はしばらく時間を空けてから就寝するようにしましょう。