- アニサキスの幼虫による食中毒「アニサキス症」
- アニサキスを食べてしまった
場合は… - アニサキスがいる魚・いない魚
一覧 - アニサキスは冷凍または加熱するとよい?
- アニサキスが原因で起こる病気
- アニサキス症を放置すると
どうなる? - アニサキスの検査と治療
アニサキスの幼虫による
食中毒「アニサキス症」
生魚を食べて胃に激痛が走った…という話を聞いたことはないでしょうか?それは、アニサキスと呼ばれる寄生虫が原因の「アニサキス症」の可能性が高いです。
アニサキスは長さ2~3cmの白い紐のような姿を舌寄生虫で、サバ、アジ、サンマ、イカ、イワシなどの海で採れる魚介類に寄生しています。アニサキスが寄生した生魚を食べると、胃の粘膜に嚙みついて激しい痛みが発生するのが「アニサキス症」です。12~3月に多く発症する傾向があります。十分な加熱処理や冷凍処理で駆除できますが、生食や加熱不十分なまま食べるとアニサキスに感染することがあります。
アニサキスは人の体内では1週間程度の寿命しかありません。無症状のまま過ごせることもありますが、胃から先の十二指腸、小腸や大腸といった消化管に移動してしまい腸閉塞を引き起こす可能性もゼロではありません。
アニサキス感染症と診断された場合、食品衛生法で保健所への届け出が義務化されています。日本人は刺身などで生魚を食べる機会が多く、感染リスクは高いと言えます。アニサキス症の約90%は日本が発症しているといった報告があるほどです。
アニサキスを食べてしまった場合は…
仮にアニサキスが寄生した生魚を食べてしまっても、必ずアニサキス症を発症するとは限りません。感染せずに排出される可能性もあります。
もし生魚を食べてから数時間で激しい腹痛、吐き気などの症状が起こったら、アニサキス症を疑って良いでしょう。アニサキスが腸管に移動してしまうと摘出が困難になってしまうため、早めに医療機関を受診してください。
胃カメラの検査が可能であり、アニサキスを摘出して治療できる消化器科がある医療機関を探しましょう。
大阪消化器内科・内視鏡クリニック 難波院でもアニサキス症の治療が可能です。アニサキス症の感染に思い当たった時は、お早めにご連絡ください。
アニサキスがいる魚・
いない魚一覧
アニサキスがいる可能性があるのは、
- サバ
- サンマ
- アジ
- イワシ
- ヒラメ
- サケ
- カツオ
- イカ
などの海にいる魚介類です。
また、アニサキスがいないのは
- アユ
- イワナ
- ニジマス
- フナ
- ワカサギ
などです。
アニサキスはオキアミを捕食する魚介類に寄生します。川魚や淡水魚、タコ、エビ、カニ、貝類はオキアミを捕食しないため、アニサキス症の原因にはなりません。
アニサキスは冷凍または
加熱するとよい?
アニサキス症を防ぐには、冷凍処理か十分な加熱処理が必要です。
冷凍処理をする場合は-20℃・24時間以上で処理しましょう。家庭用の冷凍庫では対応できない場合がありますので注意が必要です。また、冷凍処理が行われていないシメサバは、アニサキス症の原因として多く報告されています。自家製で処理する場合は早めに内臓や筋肉を処理するように心がけましょう。
加熱処理する場合は、中心部の温度が60℃・1分以上の条件で調理しましょう。鮮度が落ちてきた魚は十分に火が通っていることを確認してから食べるようにしましょう。
アニサキスが原因で起こる
病気
胃アニサキス症
アニサキスが胃の粘膜に噛みついて感染し、激しい腹痛、嘔吐、吐き気が起こります。一般的な「アニサキス症」は、胃に感染した「胃アニサキス症」を指すことが多いです。
腸アニサキス症
アニサキスが腸に感染し、下腹部の激しい痛み、嘔吐、吐き気が起こります。悪化すると腸閉塞、腹膜炎、腸穿孔(腸に孔が開く)が起こることもあります。
消化管外アニサキス症
アニサキスが消化管の壁を食い破り、消化管外に出て痛みなどを引き起こします。早急に検査で寄生した場所を特定し、適切な治療が必要です。
アニサキスアレルギー
アニサキスをアレルゲンとして、血圧低下や呼吸困難を伴うアナフィラキシーショック、全身の蕁麻疹などのアレルギー症状が起こる場合があります。
死滅していてもアレルゲンとなるため、加熱・冷凍処理を行ってから食べても発症する可能性があります。
アニサキス症を放置すると
どうなる?
アニサキスは人の体内では1週間程度しか生きられないため、放置していると症状はなくなります。しかし、症状は激しいことが多いと言われ、早めに医療機関で処置してもらうと改善に繋がります。我慢できるような症状であっても、消化管の穿孔や炎症の重症化が起きてしまうと症状が長引きます。アニサキス症を疑ったら、すぐに医療機関を受診しましょう。
アニサキスの検査と治療
アニサキス症の検査では、内視鏡で直接虫体を見つけ、そのまま取り除きます。
検査
胃アニサキス症では、胃カメラ検査(上部内視鏡検査)でアニサキスそのものを見つけられれば確実に診断できます。当院では鎮静剤を使用して、負担を軽減しながらの検査が可能です。鼻から内視鏡を通す経鼻内視鏡に対応しております。
また、体内の炎症反応を調べるために補助的に血液検査を行うこともあります。アニサキス症の場合、炎症反応の値(CRP)や好酸球・免疫グロブリンE(IgE)といった免疫に関わる項目が高値となります。
治療
胃カメラでアニサキス本体を発見できれば、その場で摘出します。摘出した後、症状は次第に改善します。ごく稀なケースですが大腸でアニサキスが見つかることもあり得ますが、その場合も摘出または内服薬で治療します。
アレルギーを発症している場合、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などの薬物療法を行います。重症ではステロイドを使用する可能性もあります。